天狗岳及び周辺旧道調査結果 2007.12.11  天候 曇り
 二股口台場山の戦いでは、台場山が旧幕府軍の本陣であるが、その西に3km離れた所に、天狗岳がある。山頂が天狗の烏帽子に似ている事から付けられたと言われている。その天狗岳に陣があり、土方隊は1小隊を配備していた。
 この陣は前線基地か斥候基地という意味合いで、造ったものと思われる。土方隊としては強固な二股台場に新政府軍を引き付ける為の、囮基地であったのでは無いかという説もある。
 
 明治2年4月13日、新政府軍は天狗岳を攻撃した。直ぐに旧幕府軍は、大野の市渡り本陣にいた、土方歳三に使者を送り、二股台場の戦いに備える。
 天狗岳の攻防は、北側の背後から迂回した長州藩に攻撃され、旧幕府軍はあっさり二股台場山に引き揚げた。
 これに気を良くした、新政府軍は白砲を放ち、二股台場山に攻め込む。
 これが当時の戦いの状況であるが、この状況は大野右仲の「函館戦記」に記述がある。

 この状況を調査しようと、天狗岳に出かけた。
 調査の目的は
@ 「函館戦争図」にある。土塁が有るのだろうか。
A 「函館戦争図」にある、天狗岳付近の旧道は存在するのだろうか?
B 菅佐伯の書いた「台場山見取図」があるが、天狗岳周辺の道は「函館戦争図」とは異なっている 
  が、その旧道はあるのだろうか?
               以上の3点を調査した。

 調査の状況及び結果
 大野ダムの入口前のゲートに車を置いて歩く。ダムに通じる道は「台場山見取り図」に書かれた位置になるが、ここは現在、ダムの管理道路になり、舗装されている。
 ダムの手前に左に入る道がある。この道もダムの管理道路になる。100mくらい入った所から天狗岳に登る。スノーシューでもそれ程埋まらなく、歩きやすい。
 雪が多い所で40cm程度だった。山は笹が生い茂っているので、夏期は歩きにくいので、積雪時期の今が歩くには最適だ。
 登って行くと、土塁なのかなと思われる、窪みは数ヶ所にある。規模的には小さいが、ここの旧幕府軍の配備は1小隊(25人程度)なので、それ程大きいのは必要ないだろう。これが土塁かどうかの判断は直ぐには出来ない。
 更に登って行くと斜面は急になり、頂上付近は急な岩場になっている。ここを越えて反対側に土塁を設けるのは考えにくい。
 山を降りて、登った道とは異なるコースを下りて来た。ここにも土塁かどうかは判断出来ないが、窪みは数ヶ所見られる。
 さらに下ってきたら道があった。何処に通じる道なのだろうか?上に向って道を登ったら、沢の淵を通って、先程の天狗岳に登った、取り付きに続いていた。
 これが、新政府軍が北から攻めた道なのだろう。この道の近くに、直径7〜8mの如何にも人工的に掘られたという、大きな穴があった。道路側は一段と低くなっており、入口の様に見える。
 大野町の旧幕府軍の「焔硝庫」や矢不来台場の弾薬庫と同じ様な作りだ。特に焔硝庫とは非常に似た作りだ。雪が融けてから内部の調査が必要だろう。弾薬庫なら内部が石積みなどが行われている筈なので雪が解けたら調査の必要がある。
 次に道を降る事にした。巾は1m程度しか無いが、しっかりした道が付いている。道は急な場所もあり、そこは七曲になっている。
 沢も2ヶ所出てくるが、水量は少なく渡渉が可能だ。更に行くと、広い場所に出たが、積雪のため道は判明しなくなった。感で歩いて行くと、大野川の淵に出た。
 川を渡り、国道に上がったら、そこは当時の「畑山旅籠」のあった場所だった。この道は、旧道であると考える事は出来る。
 菅佐伯の「台場山見取図」には天狗岳の北側に道は付いており、これに合っていると推定できる。
岡山藩 水原久が書いた「函館戦争図」

 岡山藩 水原久が書いた「函館戦争図」について
@ 上の図で、天狗岳の裾野と大野川との間に旧道があるが、ここの斜面は岩場の急な斜面で、現  在の状況からは道が有ったとは思えない。川幅が今よりも少ないとなれば、道が有った事も考え
  られる。
A 土塁の位置の書かれている場所は、今回の調査の場所とは異なっている。この絵の場所に行く
   のはかなりの急斜面で困難だった。
B 官軍陣所の場所は川の側に有ったと推定できる。陣所を作るに適した、平らな場所がある。

 南部藩士 菅佐伯の「台場山見取図」

 上の絵は旧幕府軍の南部藩士 菅佐伯の「台場山見取図」である。菅佐伯は榎本武揚が江戸に連行された後、弁天の台場の頭をしていた。当時下金山と言われた、台場山の山麓の貸付を受けるために書いた絵だ。(絵の上下は水原久と180度異なっているので注意))
@ この絵に書かれている道は、水原久の絵とは異なる。菅の絵では、天狗山の北を道が通っている。
 この道は、今回調査した道とは合っている。
 どちらの絵がどうかとは、今になっては判断が出来ないが、今後他の資料も調査しながら、少しずつ明らかにしていきたい。
               
                                           今回調査した場所の地図
天狗岳北斜面裾野へ登る道
大野川へ下る道、途中に沢が2ヶ所ある
旧道付近にある大きな窪み
旧道側が入口の様に低くなっている
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